スポンサーサイト
--.--.--(--)
新年あけましておめでとうございます
2011.01.02(Sun)
小説投稿のために過去の長編を削除いたしました。短編は残すつもりでおりますがこっそり消えているときもあるかも知れません。
申し訳ありません。
どうぞ皆様よい一年をお過ごし下さいませ。
10,名前を呼んで
2010.12.09(Thu)
曇り空とも夕暮れ時ともつかぬ時間に、ぼくは空を見上げていた。道路では激しく行き交う車やバスやバイクの音。
その全てにぼくは、賞賛の声をかけたい気分になる。
ぼくはその中の、何でもない。
誰でもない。
どれにもなれないからだ。
素晴らしい世界。きっとぼくが居なくても。それは明日からも続いていくであろう美しい世界。
何も、誰もぼくを必要としていない美しい世界。
こうやって見上げる空は、絶望や幸福感に似ている。
猫だけが、空腹を訴えぼくの邪魔をする。
ぼくは丸くてやわらかな猫の背をしばらく撫で、そしてお尻を二度ほど軽く叩いてその場から去るように言った。
猫は残念そうにその場をゆったりと去っていった。
これでぼくの世界はたった一人になった。
45,昼も夜も
2010.12.09(Thu)
紺色の空の向こうで、誰かが手紙を書いている。それは、届くことのない手紙。
次第に夕闇が近づく場所で、文字も見えにくくなる。
それでも、書き続けている。
闇は訪れ、手紙を書く手さえ見えなくさせた。
それでも、誰かが手紙を書いている。
いつか海へ投げ入れる、その日が来るまで。
65,いつも同じもの
2010.12.09(Thu)
いつまでも美しい、と思っていた人が、ある日突然美しいと思えなくなっていた。それは僕に恋人が出来たから、とかそういうことじゃない。
ほんとうに彼女の顔が、歪んでしまったように思えたのだ。
人間誰しもそういう瞬間がくるのか、と僕は悲しみを覚えた。
「あの人、変わってしまったね」
僕の友人であるとも子もそう言う。頷くと、とも子は溜め息をついた。
「目標だったの。あの人みたいに老いるのが」
「そうだったのか」
「だって、とても美しいでしょう。いつでも笑顔だったし、歳の割に若かった」
「化粧が上手い人だったのかも」
「化粧じゃ誤魔化しきれないわよ。首元とか、手の甲とか、ツヤツヤしてたでしょ」
そんなところまでは見ていなかった。女の視点は細部まで観察するものなのだ。
「何があったんだろうね」
僕がそう言うと、とも子は首を振った。
「ちょっとしたことよ、きっと。ネジの弛みみたいに」
そう言い合いながら、僕は駅の方向へ、とも子はバス停の方向へ歩き、別れた。
04,そんな顔しないで
2010.09.28(Tue)
夢の中で見た、小さな私。切なそうに、さみしそうに、でも子供だから言葉が足りなくてもどかしそうに、私をただ見ている。
そうだね。
今の私は、あなたにとって大人なのに、あなたよりずっと小さくて、弱いね。
心配だね。
それでも、真っ暗な世界にまだあなたが居てくれたことに、私はホッとするよ。
もしかしたら、消えてしまったかも知れないと思っていたから。
殺していなくて良かった、小さな私。
あと少し、もう少ししたら、ちょっとはあなたを安心させてあげられると思う。
だから、そのときまで待ってて。
もし今度また夢で会ったら、私はあなたを強く抱き締めるから。
私と一緒に、暗闇から出る手伝いをしてね。



